特集FEATURE
WITH MY CHINA TOWN
横浜中華街にシアターレストランがあった!
五大:横浜夢座第3回公演の演目は『會芳樓』という作品で、横浜中華街が舞台だったんですよ。
えっ、會芳亭という東屋が、横浜中華街の公園にありますが…。
五大:その公園があったところに、以前は『會芳樓』というシアターレストランがあったんです。開港当時、人種を問わずにいろんな人が集って賑わっていたそうです。そこを舞台に、マリア・ルス号事件(*)を芝居にしました。今も再演して欲しいという声が高いんですよ。
横浜中華街の歴史も深掘りされて、舞台にされたんですね。
五大:中国からお礼のしるしとして贈られた、大きな深紅の旗が残っているんです。特別に見せてもらって触った時に、約130年の時を越えて、人と人が助け合っていたことを感じて…。ドキドキした思いを舞台に乗せました。
(*)1872年(明治5年)、横浜に入港したペルー船、マリア・ルス号に、騙されて奴隷にされようとしている清の国の人々が231人も閉じ込められていた。日本政府が事件解決を神奈川県に押しつける中、人道主義を貫いた外務卿と神奈川県権令(県知事)が尽力し、捕らわれていた人々を解放した。
(写真左)13年前、ランドマークホールで公演した『會芳樓』のチラシ/(写真右)横浜中華街の山下町公園にある、「會芳亭」と掲げた東屋。今は観光客の休息の場になっている
受賞は「頑張れ!」のエールに感じて
プライベートで横浜中華街を訪れることはありますか?
五大:横浜中華街は大好きなので、しょっちゅう来ますよ。重慶飯店さん、同發(どうはつ)さん、萬珍樓さん…、フラリ1人でどこかのお店で定食をいただくことも。お土産に豚まんを買ったり、杏仁豆腐が好きなのでスイーツ目当てで食べ歩いたり(笑)。重慶飯店さんでは朗読劇をやったこともありますし、『奇跡の歌姫 渡辺はま子』のチャイナドレスは、横浜中華街の職人さんに仕立てていただきました。そうそう、先日神奈川文化賞をいただいた時のお祝い会も、中華街桂宮さんでしたよ。
横浜にちなんだ活動で、数々の賞を受賞されていますね。
五大:大きな喜びと同時に、「頑張れ!」と肩に手を添えてもらっているような、そんな気持ちなんです。励ましと、優しさと、エールのように思います。これからも皆さんと横浜の歴史を手掘りして、世界に発信していきたいです。
今後の演目も本当に楽しみです。本日はありがとうございました。
キュートな笑顔の五大さん。ていねいな言葉で、ふるさと横浜への想いを語ってくれました
撮影協力/ローズホテル横浜
取材・文/千谷文子 撮影/西川節子(インタービュー時のポートレート)
『横浜ローザ』20周年公演決定!
♦神奈川文化賞受賞を記念し、横浜夢座フォーラム2016『横浜夢座のつくり方』を開催
日にち:2016年2月21日(日)
会場:ランドマークホール ♦ひとり芝居『横浜ローザ』20年目の公演
日にち:2016年8月14日(日)〜18日(木)
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール
*本公演の衣裳は、横浜中華街にあるROUROUが担当する
Profile
五大路子(ごだいみちこ)
[五大路子ブログ]
http://hamonika.cocolog-nifty.com/godai/
[横浜夢座オフィシャルサイト]
http://www.yumeza.com/
[横浜夢座Facebook]
https://www.facebook.com/yokohamayumeza
神奈川県横浜市出身。桐朋学園演劇科に学び、早稲田小劇場を経て新国劇へ。NHK朝の連続テレビ小説『いちばん星』で主役デビュー。新国劇退団後も多数のテレビや舞台に出演。ひとり芝居『横浜ローザ』は初演より19年目を迎え、2015年4月にはアメリカ・ニューヨークで公演。ニューヨーク・タイムズにも大きく報道され、好評を博した。同作品で、横浜文化奨励賞も受賞。また1999年に自身が座長となり旗揚げした横浜夢座は、今年で16年目を迎える。著書に『ヨコハマメリーから横浜ローザへの伝言「白い顔の伝説を求めて」』。
受賞歴
1996年…ひとり芝居『横浜ローザ』で、横浜文化奨励賞受賞
2008年…横浜夢座の功績を称えられ、第29回松尾芸能賞演劇優秀賞受賞
2011年…第46回長谷川伸賞受賞
2012年…第61回横浜文化賞受賞
2015年…第64回神奈川文化賞受賞
*長谷川伸は、横浜市出身の小説家、劇作家。五大さんは新国劇時代から数々の長谷川伸作品に出演している。
2015年の秋、『第64回神奈川文化賞・スポーツ賞』贈呈式の様子。一人芝居『横浜ローザ』が大きく紹介された