第32回
2017/09/15
鍼灸院で体験、お灸の底力
1991年に、イタリア・オーストリア国境の氷河で約5300年前の男性のミイラが見つかりました。通称“アイスマン”には、現代のツボと一致するお灸のような火傷の痕が報告されています。そして日本では、宿を出立する前に、また次の宿に着いて寝る前に、健脚のツボ・足三里にお灸をしていたのが松尾芭蕉──。この古くからある民間療法に、現代の西洋医学が舌を巻くことも。お灸の底力に驚きました。
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リラクゼーション
レスト(れすと)
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気軽に、カスタマイズ施術 三代続く鍼灸指圧マッサージの老舗
「リラクゼーションは好きだけど、鍼灸院はちょっとハードルが高い……」と考えているなら。気軽にお灸体験もできる、当院がオススメです。
パンダが目印の鍼灸指圧マッサージの治療院。1940年に祖母が創業して以来、三代続く老舗です。県外からのリピータも。
写真の三代目・鈴木康博先生を始め、8名もの鍼灸師がスタンバイしているので、中華街散策で足が疲れた時などに予約無しでも立ち寄れる気軽さが(予約優先)。通常、院長先生1人で経営することが多い鍼灸院だけど、複数のスタッフがいるため、相性のいい人に出会える確率も高まりますよ。
入口に、全身のツボを示したイラスト。「ツボは駅、経絡は線路と考えてください。ツボを刺激することによって、気の流れ・血流・水(むくみ)の滞りを促し、体の中の渋滞を解消するイメージです」と先生。
ツボを押すのが「指圧マッサージ」、鍼やもぐさを用いて、ツボに物理的な刺激をするのが「鍼」と「お灸」です。症状が重い場合は、「鍼」や「お灸」がお勧めだそう。
「効果の出方は個人差がありますが、鍼もお灸も低刺激のものから体験し、指圧マッサージの前に鍼灸をするなどというカスタマイズが効果的です」。
早速、施術着に着替えて体験!
肩こりの私は、先生が軽く押さえただけで痛いポイント、肩井(ケンセイ)という肩のツボと、築賓(チクヒン)というふくらはぎにあるツボに、お灸と鍼をしました。
お灸は4段階の熱量が用意されていて、初心者の私は42〜43度の最も熱量の低いものを体験。ほんのり温かく心地いい感じ。鍼のほうも、怖さも痛さも無く、リラックス。ほんの10分ほどでしたが、それでも重い肩がスッキリしましたよ。
「鍼・灸・マッサージファンを増やしたい」という先生は、「必要最小限の刺激で最大の効果」がモットー。決して無理強いすることがないので、安心して訪れてみてください。
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リラクゼーション
三和治療院(さんわちりょういん)
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駆け込み寺のような治療院 今すぐできる簡単ケアも伝授
「原因不明」と西洋医学に見放された病に悩む人たちから、たくさんの感謝の言葉が贈られている鍼・灸・指圧マッサージの治療院。
中華街の中心地から向かうと、看板の下に立たなければ屋号が分かりません。目印は、黄色い占い店看板と、赤いラーメン店の間。
古い雑居ビルの4Fにあります。
院長の鳥越孝一先生は、周囲から「親指に保険を掛けた方がいい」と言われるほどの技術者。「それでも指圧マッサージには限界があります。鍼やお灸による生体への刺激が、どうも免疫を高めるのではないかと考えています」と話します。
こんなことも。肺癌でリンパに転移し、余命幾ばくという年配の女性が一度だけ来院。鍼灸治療をし、自宅でのお灸を指南すると、7年経った今も元気にされているという。
「日本のドクターはお灸を軽んじている方もいますが、そういうこともあるんです。もちろん西洋医学で救われることもあります。ただ民間医療のお灸ってすごいんですよ」とニッコリ。
足がパンパンにむくんでいるワタシに、「足三里(あしさんり)」のツボへのインスタント灸をしてくれました。
「痛いところがツボだから。だいたい適当でいいのもお灸の魅力」と先生。
松尾芭蕉も行っていたという足三里へのお灸を、テレビ番組で検証したことがあるそう。「お灸をしながら胃の動きを見ていると、足三里への刺激によって胃がギュ〜ッと動いたんです。足三里は胃腸にも効果的なツボと言われていますが、映像で証明されました」。
そういう先生は、お灸以外の自宅でできる簡単ケア方法も次々と教えてくださいました。
★胃が重い、だるいとき
足の付け根を痛いぐらい引っ張るようにもむと、スーッとしてくるはず。
★赤ちゃんの夜泣きがすごいとき
スプーンで、背中やお腹を軽くこする。「寝る前に子供がスプーンを自ら持ってくる」と喜ぶママも。
★パソコンで腕が疲れたら
スプーンで、腕を軽くこする。腱鞘炎に悩む、中華街のコックさんはレンゲでよくやっているそう。ワタシは仕事の合間に鉛筆でゴシゴシ、これだけで本当にラクになります。
★認知症の方に
首や肩をよくもんであげる。初期症状が改善されることも。
先生の原点は、鍼灸学校の卒業式前日。父が進行性の癌で「明日はお葬式」という報告を受け、急いで帰省し病室で鍼灸治療を。すると1カ月後には歩けるまでに。残念ながら3カ月後には他界されたが、息子からお灸を教わった母が最期まで自ら夫の手当が出来たことで悔いはなかったという。「お灸は終末医療の在り方でもあると考えています」。
最近では、頭だけに鍼を刺すYNSAという世界に普及している治療法も取り入れています。古きを伝え、進化を続ける、覚えておきたい治療院です。
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その他
更生堂薬局(こうせいどうやっきょく)
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全身のツボを一挙に刺激 耳用温灸器に出会う
すっかりお灸の魅力に惹かれたワタシは、その足で薬局に直行! 鳥越先生に教わった、熱量の低い『せんねん灸 竹生島』を購入。
お灸は、古くから薬草として使われている天然ヨモギ100%。白く見えるヨモギの裏側の綿毛が原料だそう。価格は2000円ほど。これでも熱い場合は『紫雲膏』という軟膏を塗ってから行うといい。
さらに、こんなユニークな商品『邵氏温灸器セット』も発見!
専用のもぐさの塊に火を着けて……
ツボが集まっている耳に当てると、一気に全身への効果に期待! しかも、じわ〜んと温かくて気持ちいい〜のです。右耳5分→左耳5分を2回繰り返しても良し、足でも腕でも好きなところに当てるも良し。専用ベルトで腰に当てても良し。温灸剤やベルト、温灸の本などもセットになって9300円(税別)。今、最も欲しいものでお財布に相談中♪
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リラクゼーション
日色鍼灸院(ひいろしんきゅういん)
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鍼灸と気功で 自然治癒力を高める
先生がロシア出張中ということで、残念ながら今回は取材できなかった当院もご紹介しなくては!
臨床経験18年、延べ8万人を診てきた総合治療院です。院長の日色雄一先生は、中国政府認定の医学博士号を取得し、鍼灸院を開業した、日本でも数少ない鍼灸師。
やさしい鍼、温かいお灸により、自然治癒力を後押しする治療を実践。産科・婦人科・産前産後のケアなど女性特有の症状にも、豊富な経験で対応しています。
特筆すべきは気功教室。
留学先の中国で「気功をやらずして、どうやって治療をするんだ?」と師匠に言われたそう。「実際に始めてみると、2週間で明らかに体が回復したんです。自分の気をためて、生命エネルギーを養い、あふれたエネルギーで患者さんを治療するという考えなんです」。
そこで当院では、鍼灸治療だけでなく健康回復のための気功教室も開いています。患者さんでなくても、1回限りでもOKなので、HPの日時をチェックして。
レンタルスペースを予約し
子育てひと休みの“お灸タイム”
子育てに奮闘するお疲れママにも、鍼灸師によるお灸で体を癒やしてもらいたいもの。そこでお勧めしたいのが、鍼灸院の予約と同時に『親子サロン Will Fun 』の予約。赤ちゃんのおしめ交換や授乳の際に自由に立ち寄ることができる当店では、1時間1000円でスペースのレンタルもOK。例えば、ママ友と訪れて、鍼灸中はママ友に子どもを見てもらっていると安心ですよね。子供服などのハンドメイド作品も販売しているので、アッという間の1時間です。